ドスンッ!!
突然、かなり大きな物音がして、トヲルは飛び起きた。
ガスンッ!バスンッ!!
「な、な、なっ?」
再び音は続く。トヲルは突然のことで全く状況が把握できず、辺りを落ち着きなく見回した。
玄関の方から聞こえてくるようだ。ドアを叩いているような音である。
起きあがると覚束ない足取りで、真っ直ぐ吸い寄せられるように玄関へ行き、ドアを開ける。
見るとそこには一人の、年の頃なら20歳前後ほどの若い男が立っていた。
トヲルと同じ東洋系の血筋なのだろうか。
無造作に、幾らか長めに刈られた漆黒の髪。瞳も同じ色だが、三白眼なのか目付きは悪い。紫ラメ入りの派手な柄のシャツを着崩し、ボロボロの色あせたジーンズを穿いている。
そしてポケットに、両手を突っ込みながらくわえ煙草で、上からその目付きの悪い眼で、トヲルを睨み付けていた。
「あんたがトヲル・藤崎、だな」
男は目線を外さずに、そのまま投げ捨てた煙草を右足で乱暴に消すと、唸るように低い声で問う。
トヲルは自分より、背の高いその男を見上げ、反射的に「しまったっ!」と思った。
普段なら、玄関に設置してある監視用モニターで、確認してからドアを開けるのだが、今日は半分寝惚けていたということもあり、確認をせずに開けてしまったのだ。
そのまま無言で、ドアを閉めようとするトヲル。
しかし男の足が、ドアの隙間に滑り込む方が、一瞬早かった。
「!ちょっと待てコラッ。何で閉めんだ!?」
更に男はドアを手で押さえ、こじ開けようとする。
だがトヲルも必死である。ドアを力一杯引き寄せながら、トヲルはやっとの思いで抵抗の言葉を口にした。
「あっ、あのっ。僕!…ウチは何もいりませんから!何かを売り付けようとしても、無駄ですからっ」
「てっ、テメーっ!ヒトがどんだけチャイム鳴らしても出て来やがらなかったクセに、なんだその態度は!?おもてに出ろっ!!」
若干、双方の会話が噛み合っていないようにも見える。
だが体力の回復していないトヲルのほうが、力を緩めてしまい、男はその隙にドアを開けたのだった。
男が玄関に入り、鬼のような形相で徐々に迫ってくる。トヲルは咄嗟に踵を返し、更に奥の方へ逃げ込もうとした。
が、振り向いた瞬間、トヲルは背後に、かなりの衝撃を感じるのだった。
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